見た目痩せててもメタボかも!?体脂肪と内臓脂肪を意識!
2019/09/29
メタボという言葉もすっかり定着しましたが、その具体的な内容や、なんでメタボが良くないかということは意外と知られていません。
体脂肪率は体重計で測定ができますが、本当に気にしなければいけないのは体脂肪率そのものよりも、内臓脂肪の占める割合です。
メタボは単なる太り過ぎではなくて、内臓脂肪率が高く健康に悪影響を及ぼす恐れのある状態を指します。
見た目は細いのに内臓脂肪が多い隠れ肥満の人もいるので要注意。
メタボって何?体脂肪と内臓脂肪は違うもの?そのあたりを知って、効果的なメタボ対策を目指しましょう。
メタボって?
メタボと呼ばれている状態の正式名称は、メタボリックシンドロームといいます。なんだか難しい名前ですが、いったいどのような状態を指すのでしょうか。
「メタボリック」とは、「代謝」つまり、栄養素が体内で分解され、新たな物質が合成される過程のことです。
「シンドローム」は「現象」を指す用語ですが、医学的には「症候群」、同じような要因が元で出てくる症状をまとめた言葉です。
メタボというと気楽な感じに聞こえますが、「メタボリックシンドローム」は、「代謝性症候群」という、国際的にも通用する正式な病名です。
糖や脂肪の代謝の問題によっておこると考えられる健康上問題のある症状が複数存在する状態が、「メタボリックシンドローム」です。
メタボリックシンドロームの症状
日本においては、ウエストの太さがメタボ診断の基準になっているため、お腹の出ている人を指して「メタボ」という言葉が使われる傾向がありますが、本当のメタボの問題点はそこだけにあるわけではありません。
メタボリックシンドロームの症状には、以下のものがあげられます。
- 肥満
- 血糖値上昇傾向
- 血圧上昇傾向
- 中性脂肪高値
- 高LDL(悪玉)コレステロール
- 低HDL(善玉)コレステロール
これらの症状がいくつか見られる状態をメタボリックシンドロームといいます。
血糖値は糖尿病と診断される手前まで、血圧や中性脂肪の基準も一般的なものより厳しく設定されています。
日本人の場合は、もともと肥満しにくい国民であったのに近年急速に肥満の率が増え、そのことが主な原因となって他の代謝異常を引き起こしていると考えられているため、肥満、とくに腹部周辺の内臓脂肪の量をもっとも問題視しています。
そのような事情があって日本では、メタボリックシンドローム指標の第一として、ウエスト周囲のサイズがあげられています。
なぜメタボリックシンドロームが問題なの?
メタボリックシンドロームがなぜ問題かというと、心臓血管病を引き起こす要因だと考えられているからです。
血圧や血糖値の慢性的な上昇は血管を傷つけ、中性脂肪や悪玉コレステロールの多く溶け込んだドロドロ血液は、血管を詰まらす原因となります。
その結果、以下のような病気のリスクが高まると考えられています。
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 腎不全
- 大動脈瘤
- 閉塞性動脈硬化症
これらはどれも命の危険に直結する疾患であることから、国際的にメタリックシンドロームは問題視され、医療機関や役所が組んで対策に乗りだしているのです。
そして、その大元の原因は、体質的なものに加え内臓脂肪が増えすぎることとされています。
内臓脂肪は下腹部よりも、内臓の集中しているおへそ周りにつきます。筋肉の上につく皮下脂肪と違い、腹筋の下についているので、皮膚の上からつかもうとしても上手くつかめません。
上腹部が張りだしているのにつかめる部分が少ないとしたら…そのお腹は内臓脂肪による肥満、メタボリックシンドロームの象徴かもしれません。
お役所がメタボ対策を訴えている理由
日本でのメタボ対策を積極的に行っているのは厚生労働省です。厚生労働省は、国民の健康を守るのが仕事なので当然といえば当然ですが、最近は経済産業省までが一緒になってメタボ対策を推しすすめています。
なぜ経済産業省が絡んできたかというと、膨大になっている国の医療費を削減する目的です。
メタボリックシンドロームの状態を放置すれば、糖尿病、腎臓病、痛風、高脂血症など、定期的に通院して薬を使わなければならない病気を招く可能性が高くなるため、その一歩手前のうちに生活習慣の改善をうながし、少しでも病院通いを減らしてもらおうというわけです。
また、メタボリックシンドロームと脳血管性認知症の関連も指摘されているため、介護予防の意味合いもあります。
国の財政もさることながら、私たち個人の生活にとっても、病院通いを減らし健康な状態を少しでも続けられた方がいいですよね。
防ぎようのない病気や体質的な部分は仕方ありませんが、生活習慣の改善によって避けられる病気は避けたいものです。
メタボリックシンドロームの基準
日本においてのメタボリックシンドロームの基準は、以下の通りです。
- ウエスト(へその高さ)周囲径が、男性≧85㎝、女性≧90㎝ の基準を越えている
- ウエスト周囲径に加え、以下の2項目があてはまる
- 中性脂肪≧150㎎ HDL(善玉)コレステロール値<40㎎ のいずれかまたは両方
- 最大血圧≧130mmHg 最小血圧≧ 85mmHg のいずれかまたは両方
- 空腹時血糖値≧110㎎
日本では、様々な病気を引き起こすもっとも大きな要因とされているのが内臓脂肪の量であり、それを自分で判断する簡単な指標がウエスト周囲径なので、メタボリックシンドロームの第一判断基準としてあげられています。
しかし、腹部の筋肉が厚い人、もともとの体格がいい人に関しては、ウエスト周囲径が基準を越えても、内臓脂肪の量は少ない可能性もあります。
反対に、もとがやせ型の人、筋肉の薄い人、内臓の小さい人などの場合、基準には達していなくても、内臓脂肪の量は多いこともあります。
基準はあくまでも平均値で1つの目安なので、その太さ自体にこだわるより、自分の体型に対して腹部の状態のバランスがどうかを見るようにしましょう。
ウエストの周囲径が太いことが問題視されているのは、内臓脂肪の多い可能性があり、それによって脳血管障害を引き起こす代謝異常を促進させると考えられているからです。
ですので、ウエスト周囲径が太かったとしても、その他の項目に何も問題が無ければ、メタボリックシンドロームとはなりません。
反対にウエスト周囲径は細くても、他の項目の数値によっては、メタボリックシンドロームと診断されることもあります。
体脂肪と内臓脂肪の関係
血液中にある中性脂肪は、必要量だけがエネルギーとして利用され、残りは皮下脂肪か内臓脂肪として蓄えられます。体脂肪はその合計を指しますが、メタボリックシンドロームで問題視されているのは内臓脂肪の方です。
同じ量の体脂肪であっても、皮下脂肪が多いか内臓脂肪が多いかによって、話は違ってきます。皮下脂肪のつきやすい女性の方が体脂肪の上限値が高いのはそのためで、女性の胸やお尻についた皮下脂肪は、適度ならむしろあった方が健康的です。
しかし男性の場合は、皮下脂肪がつきにくい分だけ集中的に内臓脂肪がたまる人が多いので、要注意です。
皮下脂肪と内臓脂肪
見た目にはかなり太っていても、検査数値に何の異常も無くて健康な人っていますよね。ある程度太っていた方が長生きをするなどと言われることがあるのは、そういう人を指しています。
そういう人と、大して太ってもいないのにメタボと診断されてしまう人のどこに違いがあるかというと、骨格、筋肉、皮下脂肪、内臓脂肪のバランスです。
見た目太っているのに健康な人は、骨格と筋肉と皮下脂肪によって体が大きく、内臓脂肪は比較的少ない人が圧倒的に多いのです。
また、もともとの代謝能力も関わっています。
体格がよく、たくさん食べるのに中身はすっきりと健康、そんな風にいれたらいいですよね。けれど残念ながら、これは体質的なものがとても大きく、目指してなれるものではありません。
通常、年齢とともに代謝は落ち、皮下脂肪細胞や筋肉は減っていくので、余ったエネルギーは内臓脂肪として蓄積されやすくなります。
若くても、消費エネルギーや体格は様々なので、かなり早い段階で内臓脂肪型の肥満におちいってしまう場合もあります。
ようは、自分の体質や体格、生活に見合った食事を摂ることが重要で、たくさん食べても健康を維持できる人、大して食べていないのに内臓脂肪が増えやすい人と個人差があり、一概に年齢や性別でくくることはできません。
自分の内臓脂肪をはかるには?
内臓脂肪を本当に正確にはかるためには、病院でのCTやMRI検査が有効ですが、医師から指示が無い限りは保険適応になりません。
市販の体重計で内臓脂肪がはかれるものもありますが、かなりの誤差はあります。できるだけ同じ時間、飲食の直後を避けてはかり、その変動を目安にするようにしましょう。
自分の感覚としてはかるには、以下のポイントを意識してみましょう。
- ウエスト周囲が、昔と比べて明らかに太くなっている。
- 大した運動はしていない
- ウエストが横に広いより、前につきだしている
- お腹が出ているのに肉はつかめない
- ウエスト以外は細い
メタボリックシンドロームを改善するには
メタボリックシンドロームを改善するためには、食事を中心にした生活習慣の見直しが第一です。
しかし、人によっては例外があります。それは、遺伝要素が強く影響している場合です。どこまで食事を制限しても血糖やコレステロール値の下がらない体質もあり、このときには薬の力を借りるしかありません。
それ以外の人に関しては、食事内容の見直し、運動などの積み重ねによって確実に改善の余地はあります。
基本は、
- カロリーオーバーの改善
- 糖質、脂質に偏った食事内容の改善
- 野菜・海藻・食物繊維が不足した食事の改善
- 節酒
- ウォーキングなど、無理なく続けられる運動の取り入れ
- 精神的ストレスと上手く折り合う
ようは、食事内容の偏りと運動不足の解消、ストレスの緩和につきます。当たり前といえば当たり前ですが、地道に続けるのはなかなか難しいものです。
精神的なストレスがたまると何事にもいい影響は及ぼさないので、生活改善に関しても、それがストレスの種にならないよう無理はせず、前向きな気持ちで取り組めるような工夫をしてみましょう。
食事改善によくある誤解
内臓脂肪が多いなら脂肪を減らした食事を…となりがちですが、内臓脂肪の材料は脂肪だけではありません。
砂糖を代表に、お米やパン、芋類などの糖質は摂りすぎれば中性脂肪に変換され、最終的には皮下脂肪や内臓脂肪となります。アルコールも同様です。
反対に、脂肪といっても、青魚や種子類に含まれる不飽和脂肪酸には中性脂肪やコレステロールを下げる働きがあると言われています。
しかし、こちらも食べ過ぎてしまうと結局は、余ったエネルギーが脂肪として蓄えられてしまいます。
よく、「これを食べるとメタボにいい」と言って、不飽和脂肪酸の含まれる食品やオイルを積極的にとる人がいますが、それによってトータルのカロリーがはねあがってしまっては本末転倒です。
不飽和脂肪酸を積極的にとるなら、その分肉やお菓子に含まれる飽和脂肪酸の摂取を減らし、全体のカロリーを調整する必要があることを忘れないようにしましょう。
食物繊維の多い野菜や海藻類は低カロリーで、同時に食べた脂肪や糖質の吸収をおだやかにしてくれる働きがあっておすすめですが、これも大量に食べたからといって効果が得られるというものではありません。
何をどう食べるかにこだわり過ぎるより、よく噛んで味わって、自分の体の状態と相談しながら食べる習慣をこころがけましょう。
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